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Business Data Analysis & Visualization with Excel

標準正規分布の確率とパーセント点の計算 with Excel

ショートカット

確率を求めたい

パーセント点を求めたい

Step 0シチュエーションの設定

ここでは,下のような標準正規分布表(上側確率)を使って確率あるいはzを求める作業を,Excelでの処理に置き換えて見ていきます。

以下共通の設定として,片側0.5を超える確率は扱わないものとします。

z から 確率p を求める

Step 1ある z より大きくなる確率上側確率p

z=1.64のとき,標準正規分布表において上側確率は0.05 (5%)とわかります(下図矢印の参照)。

Step 2NORM.S.DIST関数

Excelでは,下側確率を求めるための組み込み関数 NORM.S.DIST が用意されています。この関数の引数は次のとおりです。

  • NORM.S.DIST(z, 関数形式※) ―"Office"

※引数「関数形式」は,[true] の指定で下側(累積)確率が,[false] の指定で確率密度(高さ)が返ります(ここでは後者の指定を必要とするような手続きは登場しません)。


ただし,1.-Step 1では上側の確率こそが問題となっています。この場合,上記関数によって求めた値を全体(100%)から引いてやることで下側のそれを導きます。

具体的には,下図・下表のような式でそれを求めることができます。

B4 =1-NORM.S.DIST(B1, TRUE)

戻り値: 0.05(5%)[※少数点第3位で四捨五入。以下に同じ]。これは,下のグラフ[※イメージ。以下に同じ]のグレーの彩色部分の面積です。

Step 3ある z より小さくなる確率下側確率p

ここでは0より小さなzの値を想定具体的にはz=-1.64とし,このzの場合の下側確率を求めます。

先の標準正規分布表は上側確率のそれゆえマイナスのzが載っていません。したがってここでのように0より小さなzを扱う場合には,ちょっとばかり戸惑ってしまいます。もっとも,ここで扱う標準正規分布が左右に対称であることを顧みれば,便宜的にzの絶対値をとって鏡面に写したように図を反転させてやると,先の標準正規分布表がそのまま使えることに気づきます。

したがって|z|=1.64として先と同様に表から値を読みとると,下側確率は0.05 (5%)とわかります。

Step 4NORM.S.DIST関数

Excelの場合,NORM.S.DIST関数は下側(からの累積)確率を返すことから,直上でプラスのzからなる標準正規分布表を利用可能とするためになした類の調整(鏡に映すように反転させて考えること)が要りません。

したがって,こちらはよりシンプルに,下図・下表のような式で求められます。

B4 =NORM.S.DIST(B1, TRUE)

戻り値: 0.050(5%)。これは,下のグラフのグレーの彩色部分の面積です。

Step 5ある z の絶対値より大きくなる確率両側確率2*p

|z|=1.96のとき,標準正規分布表において両側確率は0.05(5%; 上側2つ分2.5%×2)とわかります(下図矢印の参照)。

Step 6NORM.S.DIST関数

両側確率についても,これまで同様NORM.S.DIST関数で求められます。

具体的には,zの下側確率を求め(上側でも構いませんが),その戻り値を2倍します。

B4 =NORM.S.DIST(B1, TRUE)
B5 =B4*2

戻り値: 0.050(5%)。これは,下のグラフのグレーの彩色部分の面積です。

片側確率p(下or上) または 両側確率2*p から z を求める[パーセント点]

Step 1片側確率p のときの z

p=0.05のとき,標準正規分布表においてzは1.64とわかります(下図矢印の参照)。2.-Step 3で見たように,pが下側を指して言うなら-1.64とみなします。

Step 2NORM.S.INV関数

片側(下側or上側)pに対するz(100×pパーセント点)は,NORM.S.INV関数で求めます。このとき,引数は次のとおりです。

具体的には,下図・下表のような式でzが求められます。念のため,引数は下側確率を要求するので上側確率pを与えられた場合には,“下側確率(1-p)”と考えれば上記の関数を利用できることに気づきます。

下側(B4) =NORM.S.INV(B1)
上側(B5) =NORM.S.INV(1-B1)

戻り値: -1.64 または 1.64。これは,下の各のグラフの横軸・ポインターが指示する点です。

Step 3両側確率2*p のときの z

両側確率(2*p)=0.05のとき(片側は両側の半分),標準正規分布表においてzは1.96とわかります(下図矢印の参照)。また両側,なのでマイナスサイド(-1.96)の存在も忘れずに含めおきます。

Step 4NORM.S.INV関数

両側2*pに対するパーセント点も同様,NORM.S.INV関数で求められます。

先に見たとおりこの関数の引数は下側の確率を要求するので,両側2*pの半分を与えます。

具体的に,これは下図・下表のような式で求められます。

下側(B4) =NORM.S.INV(B1/2)
上側(B5) =NORM.S.INV(1-B1/2)

戻り値: ±1.96。これは,下のグラフの横軸・左右両側のポインターが指示する点です。

参考にした書籍

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次はt分布の場合の確率とパーセント点の求め方です。

その他の参照