Excelグラフのデザイン:線で囲まれた一部の領域を塗りつぶしたように見せかけるテクニック|「損益分岐点図」を例として
“積み上げ面グラフで彩色”ケース別対応集 3/3
事例3|損益分岐点図・利益線と費用線で囲まれた領域を塗る
はじめに
いきなりテーマを否定するようで何ですが,こうした作業をExcel内で完結させるのはときに試行錯誤が必要で,いろいろと面倒がともなってくる印象です。
素地をExcelで作成する前提であれ,そもそも機会は単発,かつillustratorやPhotoshopが利用できる環境であれば,彩色は別途ライブペイントや塗りつぶしツールで処理した方が比べるまでもなく効率的です。
Step 0元図: (直線)散布図
次の図
は,
Step 2に掲示のデータをソースに得たグラフです。事例3では,2本の線で囲まれた領域,すなわち利益と損失をあらわす領域を塗りつぶして強調することを目的としたいと思います(下図)。
Step 1方針: 元図に面グラフを重ねる
具体的な方法としては,下図・左のような1・2層目と,同・右のような1・2層目をもつ「積み上げ面グラフ」を元図に重ね,完成の直前でそれぞれの1層目を不可視化するといった流れでいきます。
なお上図・右は一見領域を上手くとらえてないように見えますが,これは同・左に積み上げることを織り込んだものなので,結果的には下図のように狙ったところへハマるようになっています。
Step 22つの面グラフ,それぞれの1・2層目のデータを作成
ということで,元表とは別に1・2層目のデータを用意します。
面グラフを部材として使用する意味では,X値は1・2・3番目程度の意味合いしかなく,Y値のみを問題とすればよいので,次のようなポイントのY値を3つずつ拾っていけばよいはずです。
具体的には,このような内容の表となります。
Step 3系列の追加
元のグラフ(下図)に
先のStepのシートから強調部分をコピペします。この時点でのグラフは次のような状態です。
Step 4あらたな系列を2軸側で面グラフに
グラフの種類を変更します。
追加した4つの系列を先に第2軸側に切り替えたのちに,
同じ4つの系列について,グラフの種類を積み上げ面に変更します。
Step 5横軸のツジツマ合わせ
第2横軸をあらたに追加し,
軸位置を目盛りでフィットさせます。
Step 6面グラフの天地合わせ
第2縦軸「横軸との交点」を自動に切り替え天地を修正します。
この時点でのグラフは次のような状態です。
Step 7元系列のXレンジいっぱいにプロットエリアをフィットさせる
下図強調部分,すなわち第1横軸の可視範囲の上限(最大値)を第2横軸のそれと合致させます。下限はこの場合,触る必要はないようなので無視します。
プロットエリアと2つの線をフィットさせたところで,第2縦・横の両軸はパーツ的には不可視であった方が混乱を生みません。したがって,「目盛」「ラベル」ともなしにしておきます。
Step 8第1横軸の調整
第1横軸に目盛が入ってないようなので(下図),
ここでは外向きの「目盛」を入れておくことにします。
Step 9「塗りつぶし」完成
おのおのの第1層目の塗りつぶしをなしにすると,結果として,限られた領域のみを塗ったっぽい見た目にすることができました。必要に応じて,残り任意に書式を調整します。
なお第1横軸とプロットエリアとの隙間が気になるようなら,第1横軸(ラベル)のフォントサイズ下限まで小さく(1px)すれば下図のように修正できます。