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Business Data Analysis & Visualization with Excel

ヒストグラムの作図Tips 1/7[数値ラベルを階級の境界に表示する]

ラベルを柱の下…ではなく,柱の間に表示したい

特に向いている利用シーン

  • QCや論文などの用途にて,規格や規定にしたがって作図する必要のある場合
  • 多くの統計パッケージの採用するかたちに準じたい場合

Step 0シチュエーションの設定

スポーツクラブXの会員の年齢データをもとに作成したヒストグラムを下に再掲します。

DL

このヒストグラムの横軸の表示のしかたについて,別のスタイルに変更したいと思います(再作成によって)。ここでは各階級が含む値の範囲を表示するのではなく,下のように境界を描画したいと思います。

このスタイルのヒストグラムは,Excelの場合は分析ツールなどでダイレクトに作成することができません。そこで,ここでは「調整用データ(ダミーデータ)を利用する」効率に優れたアイデアをお借りして作成していきます[篠塚(2011)]。

工程

Step 1度数分布表の修正(1)

階級の範囲を示すラベルを,階級値(ただし階級の下限)へと書き換えます。イメージとしては,10歳代,20歳代,30歳代といった感じです。

Step 2度数分布表の修正(2)

必須というわけではないですが,ここでは縦軸と棒の間に1階級分の空間的なゆとりを確保しておきたいと思います(Excelグラフの縦横軸線は完全に交わるので,当初のような階級範囲の表示でなくなると,予期せぬ誤読を招くリスクも否定できません)。

そのため,最初と最後の階級に度数が0の階級をあらたに作成します。最初の階級の前に1行挿入し,階級値および度数(0)を入力します。これを現時点で最後となる階級の直下のセルにも繰り返します。

Step 3度数分布表の修正(3)

度数列の直右の列に「最大度数」列を作成します。

見出しの直下には,かかる度数分布表における最大度数(Max)を入力しておきます(この例では階級値「50」における度数「10」。シートの再利用を視野に入れて関数で求めても)。

Step 4度数分布表の修正(4)

「階級」列の見出しを削除します(一種のhack。これを残すと同列見出しより下のデータがExcelに数値とみなされ,グラフのデータソースの修正に手間がかかってしまいます。なお一時的な対処とすれば問題なく,グラフが完成してからこれを再度入力しても,完成したグラフには影響は及びません)。

Step 5ヒストグラムの作成(1)

「最大度数」列も含めて度数分布表を選択し,挿入タブ「グラフ」グループの縦棒/横棒グラフの挿入ボタンをクリックします。

プルダウンから 「2-D縦棒」グループの集合縦棒ボタンをクリックします。

Step 6ヒストグラムの作成(2)

グラフの「度数」系列(下図にいう任意の青い棒)を選択します。つづいて,書式タブ「現在の選択範囲」グループの選択対象の書式設定ボタンをクリックします。

Step 7ヒストグラムの作成(3)

「データ系列の書式設定」ウインドウが表示されます。

要素の間隔を「0%」に,使用する軸を「第2軸」に設定します。

Step 8ヒストグラムの作成(4)

グラフをアクティブにしておきます。

デザインタブ「種類」グループのグラフの種類の変更ボタンをクリックします。

「グラフの種類の変更」ダイアログから「最大度数」系列を散布図に修正し,[OK]ボタンをクリックします。

Step 9ヒストグラムの作成(5)

グラフの横軸を選択し,書式タブ「現在の選択範囲」グループの選択対象の書式設定ボタンをクリックします。

Step 10ヒストグラムの作成(6)

最小値」「最大値」を設定します(ここでは順に最初の階級の下限である“0”と,最後の階級の下限+階級の幅である“100”。ここでの例のように前後に度数0の階級を追加した場合には,それら階級の存在を無視するものではありません)。

」(目盛間隔)には階級の幅を指定します(ここでは10)。任意の間隔でも可能ですが,その場合でも階級幅の正の整数倍で設定した方がbetterかと思います。

Step 11ヒストグラムの作成(7)

グラフの「最大度数」系列(下の図にいうオレンジの点)を選択し,書式タブ「図形のスタイル」グループの図形の塗りつぶしおよび図形の枠線ボタンから,それぞれ順に「塗りつぶしなし」「線なし」に設定します。

加えて,凡例を削除します。

Step 12ヒストグラムの作成(8)

デザインタブ「グラフのレイアウト」グループのグラフの要素を追加ボタンをクリックします。

プルダウンから第2縦軸とたどってグラフ上の第2縦軸を消去します。

Step 13ヒストグラムの完成

ヒストグラムの完成です。

必要に応じ,その他書式等の調整をつづけていきます(下図は参考例)。

Next

次は,平均・規格値などを垂線としてヒストグラムに重ねるための手続きです。

参考にした書籍

この形式(境界値の表示)でヒストグラムの描画が可能なExcelアドインソフト

  • エクセル統計 BellCurve
    • 「基本統計・相関」「度数分布とヒストグラム」(横向きの箱ひげ図とともに描画する場合)

その他の参照