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Business Data Analysis & Visualization with Excel

層別バブルチャート(色によってグループを区別したバブルチャート)の作成 with Excel

Step 0はじめに

ここでは,例示としてある会社の創業から現在に至るまでのフローを抽象化したイメージ(川の流れのような)を描く目的で,次のデータを使用します。

DL

試しにセルC2~セルE26をソースとして「バブルチャート」を描いてみるとして,結果は下図のとおりとなります。

これは少し淡白な印象であったので,ここで他の色を交互に乗っけてみたい衝動に駆られました。具体的には,元表の「Group」列の区分ごとに異なる彩色をしてみたいと思います。

これへの対処として,一般的には,「データの選択」から系列を色(区分)の数だけ次々と追加していくといった手続きが想起されます。ただ,ここでのように作図機会の限られた散発的に必要とされるにすぎないグラフのために,いちいちダイアログを開きX範囲指定して,Y範囲をといった煩雑な手順を繰り返すのもまた,ややもするとため息を急ピッチで生産するばかりとなるやもしれません。

そこで,ここでは原則を曲げて“「データソースの選択」ダイアログを開くことなく”シンプルに作図を済ますことのできる方法を,例により示したいと思います。

工程

Step 1

色を区分したい基準(ここでは「Group」)の昇順または降順に元表を並べ替えます。

Step 2

区分ごとにバブルチャートを作ります(それぞれの色の領域をソースとして個別に作成)。

ここではA~Cの3区部存在するので,必要なグラフは3つとなります。

出来上がったバブルチャートの色のみ(書式設定の他の部分は全体が完成してから)をそれぞれ任意のものに変更しておきます。バブルが近接するようなデータであれば,透明度も掛けておいたほうがbetterかと思います。

Step 3

1つ目のグラフを選択した状態でCtrl + Cキーを押し,グラフをクリップボードにコピーします。

つづいて2つ目のグラフを選択し,クリップボードの内容をCtrl + Vキーを押してペーストします。

同様の操作を残るグラフに対して1つずつ繰り返します。

この時点でシートは下図の状態になっているかと思います。ここではいちばん下のグラフのみが目的のそれとなりますので,他のグラフは削除しても構いません(ここでは削除します)。

Step 4

残ったグラフに対し,ラベルを付加するなど細部に任意の書式設定を加え完成です。

Step 5可視化にバブルチャートを選択したときの注意点

この例で「V」列の値はイメージとしての性格しか持ち合わせていませんが,この第3の変数に仮に売上など比尺度のデータを割り当てる場合には少し注意が必要です。

Excelでは,書式設定から“サイズ”の定義を任意に変更することができます。それが何を意味するかと言えば,たとえば同じ2つの値の組み合わせを下図のように可視化したとしても,設定によって結果にかなりの差異を付すことが可能となってしまいます。

常識的には,バブルと直面しそれを読解することを迫られたユーザーが据える基準は,直感的に“面積”の方に傾くだろうことを推察できます。その上で,図の示すところがデータに忠実かどうかといった観点を持ち出せば,大小の判断をなす基準に“幅”を使うのは妥当性を欠く感があります。よりストレートな物言いをすれば,“幅”を選択することによって,値の差を誇張することが可能となります。何らの資料としてバブルチャートを提供されたユーザーは,ときにそうした作成者のトリックに翻弄されてしまうことがあります。

となれば,後者の基準は害悪そのものと片付けてしまうのも,また別の視点では性急でしょう。「2位」より上は「1位」,下は「3位」といったように,序列にのみ意味があり,かつ表現にメリハリを作れたのならその判断をユーザーがより易くできるであろう場合(まさにここでの例のような)には,後者は使いやすい選択肢だとも思います。

その他の参照